2015年1月30日金曜日

新人教育 中小企業向け教科書 発売【日本経済新聞】

ものづくり企業の人材教育支援や
研究を手掛けるフィールイメージ(広島市)は
中小メーカーの新入社員教育を想定した
教科書を制作した。大企業は新人教育の制度や
マニュアル類が整備されているが、
中小では手が回らないことが多く、
教科書の需要があると判断した。
2月2日から同社のホームページなどで販売する。
タイトルは「モノづくり人の導入教育教科書」
マツダの製造現場での経験が豊富な
小林健一社長が監修した。体調管理や服装などから
生産現場での安全、情報管理に関する基礎的な
知識をイラストを多用して分かりやすく解説した。
価格は1600円(税抜き)。
パート・アルバイトや期間従業員、
インターンシップの学生にも利用しやすいという。
指導係となる先輩社員が新人と一緒に使うことで、
基礎的な知識を確認し直す機会にもなる。
2015年1月30日 日本経済新聞 掲載

2013年3月27日水曜日

匠の技 習得を手助け 世代間をつなぐ【中國新聞】

匠の技 習得を手助け 世代間をつなぐ
技能伝承では世代間ギャップも壁になる。大手企業に動画の教材を納めてきたベンチャー企業フィールイメージ(安芸区)は、若手への技術始動に悩む中堅、ベテランの技能者を支える。「これほどつやって曲げるの」。同社の小林健一社長(39)がファイルを手に作業員に質問する。かつてマツダに勤め教育マニュアル作りに携わった経験を生かし、昨年から金属曲げ加工のハマダペンディングサービス(呉市)に通う。同社では職人気質の中で育った中堅以上が、20代にどう技術を伝えるか迷っていた。350社と取引するハマダの仕事は多種多様。金属板にかかる圧力を紙1枚を挟んで微調整するプレス技術を駆使する。だが、プレス担当の藤川義治係長(37)は「自ら聞き、まねして仕事を覚えてきた。教え方までは分からない」と明かす。一方、今の20代は職人気質の職場に戸惑う。双方の「潤滑油」となるのが小林社長の役割。まず若手から聞き取りを始めた。試行錯誤の途中だが、藤川係長は「外から人に入ってもらい、教えようという意識が高まった」と感じる。「多くの町工場が同じ課題で困っている」と小林社長。ものづくりの継承に商機を見出す。 2013年3月27日水曜日 中國新聞 朝刊掲載

2013年3月6日水曜日

中小生産現場の教育担当 組織改革の「潤滑油」に<日本経済新聞>

マツダOBの小林健一社長(39)が手掛ける異色のベンチャー企業、フィールイメージ(広島市)。マツダの生産現場で培った経験を生かし、デジタル映像を使った分かりやすい生産現場マニュアルの作成を手掛けてきたが、中小企業の教育担当として生産現場を支援する事業を本格化している。肝となるのは、ルールを作り中間管理職の意識を改革することだ。造船の町として知られる広島県呉市。小林社長が〞教育担当″として通うのが金属曲げ加工を手掛けるハマグペンディングサービスだ。プレス、ロール、ベンダーと呼ばれる加工部門にそれぞれ分かれた工場には小林社長が用意したファイルが置かれている。数十ページに及ぶファイルにはハマダの年間計画、社員の項目別評価、社員に対するアンケートなどがある。「アンケートどう?」「ほかの部門もやってみたいと言う社員が結構いるんですよ」。小林社長が気さくに声をかけるとプレス部門の藤川義治係長(37)がファイルを開きながら答えた。小林社長がハマダの教育担当になったのは約半年前。約30人の社員の大半を占める職人一人一人の責任が不明確だと感じ、まず取り組んだのは「ルールを決めて責任と権限を与える」(小林社長)ことだった。中間管理職の係長が職人を統括し生産の流れや評価、職人の希望を聞き取りファイルに書き込むことにした。係長とはいえ「何をすればいいか分からなかったが自覚が芽生えた」(藤川係長)。4年前に社長を引き継いだハマグの浜田篤社長(33)が期待するのは「職人を多機能な仕事ができるようにすることと技術を残すこと」だ。1つの部門に長年属することが多い職人の世界。技能が磨かれる一方で、職人は自分の部門の仕事が終わると他の部門が忙しくても帰ってしまうことが多かった。競争が激しくなる中、企業の生産性を上げるには「異なる部門の技能を身につけてもらう」(浜田社長)ことが不可欠。技能の伝承も苦と違い熟練者の技を見て自主的に学ぶ若手は少ない。声を掛け合い若手に伝えを」とが必要で、部門内や部門間の橋渡しとなる人材の育成が求められる。これまでは社長が職人と一対一で接してきたが「社長、係長、職人Le潤滑油になる」(小林社長)。ルール作りや組織改革を約1年かけて構築したい考えだ。日本は中小企業が9割を占めるが、技術力が高くても技術の伝承や組織運営が十分ではないケースが多い。小林社長のような大企業のOBが、国内のものづくりを守っていく環境が広がることが期待される。
2013年3月6日 日本経済新聞

2013年1月17日木曜日

2011年8月18日木曜日

受け継ぎ、生み出す デジタル易化<SMBCメンバーシップマガジン>






フィールイメージ社がアプリ 高機能携帯で紹介可能<日経新聞>


デジタル動画の制作を手掛けるベンチャー、フィールイメージ(広島市、小林健一社長)は、
スマートフォン(高機能携帯電話)上で商品の製造工程や企業などを紹介する
アプリケーションソフトの制作サービスを開始した。動画や画像を使い、
複雑な仕組みを分かりやすく伝える。スマートフォンなど持ち運びが可能
な端末に対応することで、製造業など企業の営業ツールとしての需要を
見込む。スマートフォン上のアプリケ-ションにタッチするだけで、映像などを
映し出す。簡岸なアニメや文字を組み合わせることで、製造工程や商品の
魅力を分かりやすく顧客に伝える。
制作費は1件あたり約100万円から。小林社長はマツダのOB。
生産現場での経験を生かし、生産工程や商品の分かり
やすい解説を売り物にする。

2011.8.9 日経新聞 地方欄

2010年4月21日水曜日

「ダメなオレ」が原点 実写+アニメで技能伝承<日経産業新聞>



マツダの技能伝承を影で支える異色のベンチャー企業がある。
マツダOBで工場作業員だった。 小林健一が一人で立ち上げたフィールイメージ(広島市)だ。 マツダ時代に現場で悪戦苦闘した経験をもとに、「誰でも理解できる映像技術マニュアル」の作成を手掛ける。 マツダで新入社員研修から国家試験対策まで幅広く導入されているほか、他業種や自治体などにも採用が広がっている。 マツダ本社工場(広島市)内の研修室で、今春入社した初々しい新入社員たちが、ある映像に見入っていた。 車体組み立てラインを説明する映像だ。実写に簡単なアニメと文字を組み合わせたもので、工程にあわせて作業のポイントなどを解説する。本社工場で同様の映像マニュアルを14種類採用している。 加工工程では旋盤加工の国家試験もカバーする内容だ。 作成した小林は、「誰でも一日でポイントが分かるよう、とことん視覚に訴えるのが特徴」と話す。 新人たちが目にした車体ラインで自らが味わった挫折が原点にある。

工業高校卒の小林は1992年にマツダに入社すると、すぐに「技能五輪」出場選手養成コースに配属。 県大会でも優勝した。 だがその後に配属された車体ラインで状況は一転。  「またおまえのミスか!」。 毎日のようにポカ(失敗)を出しては怒鳴られる。 ついたアダ名が「ポカ出しワーストワン」。 五輪選抜生のプライドは砕かれた。 仲間の前で涙を見せたこともたびたびという。 そんな時、今も師とあおぐ人物と出会った。

現在、品質本部副本部長の園山雅俊だ。 「白分の目で確かめろ」「〞多分〞は言うな」 指導を受ける際は圓山の机の横で直立不動。 小林も「端から見ればイジメにも見えたようだが、間違ったことは一つもなかった」という厳しい教育は2年間続いた。 

転機は02年。 小林は工場での環境認証取得マニュアルの作成を任された。 30枚ほどの資料にまとめて圓山に提出したところ、1目見るなり突き返された。 「こんな小難しい文章を現場の人間が見る気がすると思うか」この時、ひらめいた。 「文章がダメなら動画にしたらどうか」。 趣味のパソコンで早速、作業手順を示すアニメを自作。 現場の職長に見せるとこれはわかりやすい」と好反応。 折しも製造業で団塊世代の定年退職が目前に迫り、技能伝承が問題化していた。 「他社でもニーズがあるのでは」。 そう思った小林は05年に独立を決意した。

最初の受注はあっけなく舞い込んだ。 退職届けを出すと、直後に本社工場長から呼び出しを受けた。 新事業を説明すると「ちょうどええ。技能伝承の教育チームを作るから、ぜひやってくれ」。 この時に、現在も同工場で使用するマニュアルが採用された。 

「この仕事はオレがアホやから出来るねん」。 小林はこう言ってはばからない。 工場で失敗しては圓山に怒鳴られる毎日。 その言葉を思い出し「なぜこんな間違いが起こるのか」を自問自答しながら映像を作成する。 「怒られたことが今では仕事のタネになっている」のだ。 小林は発注を受けるとパソコンを片手に顧客の元に飛び込み、まずは自ら作業を身につけるつもりで四苦八苦する。 誰もが疑問に思うだろうことを洗い出すためだ。 近年は自動車以外にも顧客層を広げ始めた。06年に三菱レイヨンが採用。 水質ろ過システムや和紙製造、大学の教材作成など分野は問わない。 価格はケースによるが100万円前後だ。

最近、圓山と飲む機会があった。 「あの時、なんでオレのことを買ってくれたんですか」。 小林の問いに圓山はこう返した。 「おまえは誰よりも真剣に工場を掃除していたから。 現場を大事にするやつはモノになるんや」。

圓山から学んだ愚直に現場を見つめる視線が、たった一人で挑戦した新ビジネスの武器になっている。

2010年4月16日 日経産業新聞