社長の小林健一さん(34歳)は、大阪の工業高校を卒業してマツダに入社。自動車の製造現場で技術を磨いてきた。その腕前は技能五輪県大会の「曲げ板金」部門で優勝するほど。当時は「手から血が出るほどトンカチを叩いていた」そうだ。そうして培ってきた技術や経験を活かして立ち上げたのがフィールイメージだ。はじめたのは映像による生産現場のコンサルティング事業。若手技術者の教育などを目的に'工場における機械の操作やラインの仕組み'作業工程などを解説した映像を製作するというものだ。「近年'技術者の高齢化や派退社員'外国人労働者の増加などにより技術指導は難しくなってきている。日本の製造現場ではどこでもそうした問題を抱えている。かつての製造現場では『見て学ぶ』のが当たり前だった。そこで当社では職人の持つ技能を映像化することにより、失われつつある匠の技を伝えていきたいと考えている」と小林社長は話す。起業できたのは「マツダ時代の数々の失敗がいい経験になっているから」だそうだ。マツダでISO取得のための現場リーダーを務めていた小林さんは「2000人いる工場の職員全員が理解できる工程管理マニュアルを作らなければならなかった。ボルーやナットの名称など'何も知らない人でも理解できるマニュアルづくりを心がけた」そうだ。現在へ同社のサービスは、新人教育の教材などとして'マツダや三菱レイヨンといった大手をはじめ中小製造業の現場でも利用されている。産業構造が変わるなか'日本のモノづくりを支えてきた職人ワザを伝える同社の取り組みは今後ますます重要に。
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